天の邪鬼な彼女に、甘いキスを。~ White Day ~ (完)
「これ、バレンタインの日にオレのカバンに入ってた。お前が入れたんだと思ったんだけど?」
「―――…!なっ、何言ってんの!?」
核心に触れると、亜美にちょっと焦りが見えた気がした。
「お前しかいねぇし。…オレが食えるチョコレートはミントチョコだけ、って知ってる奴、お前だけだ」
「!」
亜美以外に、その話をしたことはない。
ミントチョコ、という普通では考えないようなチョイス。
そして、差出人不明。
そんなことをするのは、亜美しかいないって思った。
「なぁ、お前だろ?」
亜美の目が泳いだ。
ビンゴか?
そう思った瞬間、亜美の口からは全く違う言葉が出てきた。
「……ばっ、ばっかじゃないの?誰があんたなんかに。自意識過剰も程々にしてよ。自分がモテるって考えてる男とか、最悪だし」
ぷいっと、亜美はそっぽを向いた。
―――ぶちっ。
オレの中で何かが切れた気がした。