私の空・僕の先生
 私たちは、病院近くの喫茶店に入った。

「先生…何であの時、オレのことおいて行ったの?」

「・・・好きだったから…」

空が、私を見つめた。

「・・・美空を産んでくれて、ありがとう・・・」

テーブルに置かれた私の手をそっと握って、微笑んだ。

やっとの思いで、空から離れたのに・・・

「先生と美空のこと、守っちゃダメ?…傍にいられない?」

「無理よ…私は空から離れたんだよ…違う人と、幸せになって…」

堪えきれない気持ちが、涙になって流れていく。

「オレには、先生しかいないよ…他の女なんて、どうでもいい。泣いた顔も、怒った顔も、キレイだって思ったの、先生だけ…」

私は涙を拭いて、立ち上がった。

「もう…行かなきゃ。会えて、嬉しかったよ」

美空を抱き、喫茶店を出た。空も慌ててついてきた。

「待って…これ、オレの名刺」

空は、精一杯の笑顔を見せて、私に手渡した。私も何とか笑顔を作って、その場を去った。

病院の待合室で、名刺を見た。

…裏に何か、書いてある。

『来週の日曜日、先生と初めて出会った場所で、待ってる。』

空の傍に行きたい…

でも、離れていた時間が、空のもとへ行くのを迷わせた。
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