初恋タイムスリップ(成海side)



一学期、部活最後の大会を控え、


朝練が始まった。




俺と篤志は、いつもより早く学校へ向かっていた。



「大会終わったらもう引退だな。


そしていよいよ受験かぁ。

俺、K高受験できんのかなぁ…」



篤志は深いため息をついた。


「一緒に行くって約束だろ?
絶対守れよ」


俺は笑って言った。


「成海は余裕なんだろうな〜

俺は…まぁ、頑張るって…


なんだ?


あいつ、何やってんだ?」



校門を通って、ロータリーに入り、

校舎の玄関の中に目をやると、


前野が下駄箱の中に手を突っ込んでいた。



「成海…あそこの下駄箱、

お前らのクラスの場所じゃねぇよな。

俺のクラスの


女子の場所だ」




篤志にそう言われて、嫌な予感がして

俺は、前野の元へと走った。


前野は入れ違いに階段の方へ行ってしまって、


俺は美音の下駄箱を探した。

桜木


桜木



あった……




美音の下駄箱は上履きがなくて、



丸められた紙がだけが入っていた。



「どうした?」



篤志がそばにきて、


俺はその丸められた紙を 開いた。




【死ね】






< 89 / 143 >

この作品をシェア

pagetop