君と俺の事情


俺の兄弟の名前、変だと思わない?
兄が遊我。
姉が結未。
弟の俺は集。
兄や姉には、“ゆう”と付いてるが、俺には付いてない。
その理由は、俺が長瀬家の養子だから。
俺が養子だってことは、家族全員隠してる。
両親も俺が養子だということを、言わずに逝った。
遊我兄ちゃん達も、今だに隠してる。
俺は、拾われたときの記憶があるから、自分が他人なのは知ってる。
だけど、知らないふりを続けてる。


ま、その話しの始まりは、十年前になるんだ。


あの日、俺に声をかけたのは、姉の結未姉ちゃん。
結未姉ちゃんが俺と遊んでくれたり、沢山してもらった。
夕方になれば、結未姉ちゃんの他に、同じくらいの子供は帰ってく。
俺は行く宛てもないから、結未姉ちゃんに付いて行った。
そしたら、いつの間にか…長瀬家の次男としていました。

母さんと父さんは、俺を二人と分け隔てなく育ててくれた。
遊我兄ちゃんも結未姉ちゃんも、俺をホントの弟の様に、可愛がってた。

俺は、遊我兄ちゃんも結未姉ちゃんも両方好き。
だけど、どちらかと言ったら…結未姉ちゃんが好き。
あの日以来ずっと、姉ちゃんに恋してるんだ。


「集!」

「ん?あ、遊我兄ちゃん!」

「買い物か?」

「姉ちゃんのパシリ」

「あいつは何やってんだか…」


コンビニの帰り道、たまたま遊我兄ちゃんに会った。
今日はやけに早い……。
あ!!
結未姉ちゃんの友達が来てるんだった!!
まずい…このままだと…。


「ん?どうしたんだ」

「あ〜いや〜なんでもない…」


もう…仕方ないか。
元々俺のせいじゃねぇし。
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