君と俺の事情


あたしが迷惑を沢山かけたせいで、母さん達は事故に遭ったの?
あたしのせいで?
全てあたしのせいだと思い込んだ。
葬式が終わってもずっと、泣き続けた。
あたしが殺ったんだって。
そんなあたしに声をかけたのは、遊我じゃなくて、何時でも集ちゃんだった。
何時もの無邪気な顔して。


「結未姉ちゃん、泣いちゃダメだよ?」

「集…?」

「結未姉ちゃんの笑顔が好き!だから笑ってー?」


淋しかった心に、集ちゃんの笑顔が染み込む感じがした。
あの日から、あたしは迷惑をかけないって決めた。
だけど、やっぱり迷惑かけてる…。


「結未姉ちゃん!過去は思い出さない!」

「へ…?」


集ちゃんの声で我に戻った。
過去を思い出すと、あたしって暗くて、思い詰めた顔すんだよなぁ。


「今を考えなよ」

「…はは、だね。ちょっと、肩貸してよ」


こんなにも、あたしを支えて、心配してくれる奴いるんだ。
集ちゃんがその人物。
あたしが過去を思い出さないで、今を考えて過ごすって言ったのに。
集ちゃんに言われるなんて、ちょー情けないね。あたしって。


集side


結未姉ちゃんは、俺の肩を使ったまま寝ちゃった。
自分のベッドで寝ろってば。

俺は静かに姉ちゃんを寝かせ、静かに部屋を出た。
時間を見る為にリビングに行くと…。


「あれ、遊我兄ちゃん…」

「お、まだ起きてたんだ」

「あ、うん」


遊我兄ちゃんは、リビングにてパソコンと睨み合っていた。
明日使う資料とか作ってんのかな?
あ〜時間時間。
今は22時ぴったし。
ま、まだ寝る時間じゃないからいいや。


「はい、コーヒー」

「お、気が利くじゃん」

「明日使う物?」

「あ〜そうだな。必死で作ってる」


煎れたコーヒーを飲みながら、ブツブツとなんか言ってる遊我兄ちゃん。
遊我兄ちゃんは、長瀬家の大黒柱。
必死に頑張って、家計を支えるために仕事をしてる。
そんな遊我兄ちゃんの頑張りを無駄にしたくない俺は、必死に勉強をしてる。
いい高校入って、いい大学入って、就職するんだ。
今んとこ、まだ何も決めてないよ。


「つか、結未どした?何時もなら、テレビ見てんだろ」

「あ〜寝た」

「遊び疲れか!」

「母さん達のことで、疲れて寝ちゃった」

「…あ…そうか」
< 9 / 73 >

この作品をシェア

pagetop