最期の時
この戦国の乱世に身を置く限り、死があり戦場で対面するかもしれないことなど百も承知だった。
それでも、私たちは忍びの道を選んだのだ。
お互い好きあっていた。
愛をささやき合ったのも、肌を重ねたのも一度だけ。そのあとは、戦場で会わないことを願い続けることしかできなかった。
一触即発。どちらかが油断したら死ぬだろう。
桔梗はすでに殺気を向けている。慎司は諦めたように苦無を構えて低い体勢になった。
.