純愛☆フライング―番外編―
「いひゃいよ、ひゃっひゃん!」

「どの口が言ってるんだ! だったらお前がメシを作れ」


怒鳴りつける巽だった。

 
19歳の志穂は26歳の巽にとって兄嫁の妹にあたる。 おまけに実家が隣同士ということもあり、小さいころから妹同然に可愛がってきた。

高校生の男子が小学生の女子に、『大人になったら、たっちゃんのお嫁さんにしてね』とハートマークつきで言われたら、誰だって悪い気はしないだろう。巽も同じで、『可愛いなぁ』といった程度だった。

それが……志穂が中学2年のとき、巽の中で何かが変わる。

1度欲望の対象としてみてしまったら、もう元には戻れない。しかも、そんな巽の感情をお互いの両親にまで知られてしまった。


(手ぇ出すときは結婚必須だもんなぁ……マジで悩むって)


ふたりの実家は県の最西端にあるK市だ。

巽が就職したホテルはK市から車で約1時間のO市にあった。そして2年前、志穂はO市の専門学校に入ると言い出した。


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