恋愛の条件
奈央には、彼女たちの気持ちがよくわかった。

奈央自身が、修一に「期間限定の身体のお付き合い」を求められたら、断れないとわかっているから。

だが、修一は、それを奈央に求めなかった。

期間限定にできないからだろう。

同じ会社というだけでなく、同期という関係。

割り切るには面倒くさいに違いない、と奈央は解釈していた。

こんなひどいことを平気でできる男だと知ってもなお、奈央の心が修一以外の男
に傾くことはなかった。

奈央が一途だったわけではない。

奈央自身は、合コンに誘われれば、進んで出席するし、気になる男性が現れれば、食事の誘いも受けた。

今よりもっと素直で、社交的だったせいか、告白されることも多かった。

だが、いつも一瞬にして修一が奈央の揺れる心の全てを占めてしまう。

それは、さり気ない会話だったり、髪や頬に触れる指、ほろ酔い気分で「奈央」と優しく耳元で囁かれると、たった2時間前に食事していた相手の顔も記憶の彼方にとんでいく。

本人は故意にしているつもりはないだろうが、それはそれで、奈央には迷惑な話だった。

いっそのこと、地方支社に飛ばされ、顔を合わせなくなれば、自分は楽になれるだろうか、と思うこともあった。


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