恋愛の条件
身体中の水分がなくなるのではないかと思うくらい泣いた。

目が腫れ、喉も酷く痛み、初めて会社をズル休みした。

二日後、出社しても修一と顔を合わすことを避け、気持ちに決着をつけることも、「さよなら」さえも言えなかった。

内示発表から一週間後、周囲に殆ど知らせず、修一がニューヨークへ経ったと沙希から聞かされた。


その晩、また声が枯れるくらい泣いてしまった。

告白して振られたわけでもなく、つきあってて、別れを切り出されたわけでもない。

こんなことなら、さっさと告白して、思いっきり振られた方がましだった。

溺れさせて、期待させられて……

そして諦めきれないまま、どん底に落とされた。

こんな酷い男を、奈央はずっと忘れられなかったのだ。







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