恋愛の条件
奈央は、その夜遅くに、修一のマンションに呼ばれた。

何から聞いていいかわからなかった。

長い沈黙を破ったのは修一の一言。

「悪かった……」

何が?

抱いて悪かった?

ニューヨークに行くこと黙ってて悪かった?

遊びで悪かった?

頭の中は混乱していたが、分かったことが一つ。

「私も期間限定の彼女だったのね?あぁ、彼女でもないか、何も言われてなかったし……」

ちがう、と修一は否定したが、それ以上彼は何も言わなかった。

苦しくて、悲しくて、悔しくて、涙が溢れて止まらない。

抱きしめてもくれなければ、言い訳もしてくれない。

「わかってたなら、あんな抱き方しないでよ……」

そう一言残し、奈央は修一の部屋から出ていった。

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