恋愛の条件
確かに経営企画部の笹野課長は、一癖も二癖もある。

5月に株主総会を控え、この次期に予算変更なんて出そうもんなら、かなりの嫌味を言われるに違いない。

「……わかったわ」

奈央は軽く溜息をつく。

「そんなに元彼の部署に行くのがイヤか?」

虚をつかれた修一の問いにハッと奈央は顔を上げる。

なぜ、裕樹のことを修一が知っているのだろうかと逡巡する。

「山下とは技術チームで一緒に仕事したこともあるからな。話はいやでも入ってくる」

奈央の考えを読むように修一は答えた。

「チーフには関係ないことです……」

視線を落とす奈央の傍に、影が落ちてくる。

気付くと修一が目の前に立っていた。


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