恋愛の条件
「良かったな、認められて?あの人があんな風に褒めることはまずないからな?」

項垂れる奈央に修一は予期しなかったことを言う。

「えっ?あれで褒められてたの?認められた……?」

「一応ね?」

褒められていたとは到底思えないし、褒められる要素がどこにあったのかも奈央には理解できなかった。

ふと思い出したように奈央は修一を見た。

「ねぇ、ありがと……」

「何が?」

「さっき、片桐キャップの前でかばってくれて」

「別にかばってなんかない。事実を言っただけだ」

「でも、ありがと……」


(ちゃんとわかってくれた)


「お前そんな可愛いこと言ってると、ここで押し倒すぞ?」

「な、何バカなこと言ってるのよ……」

「本気だけど?」

修一の指が奈央の髪にそっと触れ、唇が触れるか触れない距離で奈央を見つめた。

いつもの奈央をからかうような薄い笑いはなく、真っ直ぐ奈央を見つめた。


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