恋愛の条件
「黒沢、確かに広瀬さんは無能じゃないな?」

「でしょう?」

「広瀬さん、さっきは悪かった。君に任せよう。笹倉課長に修正した予算変更を出してきてくれ」

「は、はぁ……」

奈央は片桐の急激な態度の変化についていけない。

「それから、明日は君にもついてきてもらおう」

「はっ!?私が、ですか?」

驚きに、奈央ばかりでなく、修一も目を見張る。

「笹倉課長にしっかり報告してもらいたいからな」

「でも……」

「彼は君のことがお気に入りなんだろ?」

「////」

「じゃぁ、黒沢また後で?」

「はい、ありがとうございました」

修一が軽く頭を下げ、ドアが閉められた瞬間、奈央は崩れ落ちるようにその場にしゃがみこんだ。

「き、緊張したぁ……」

「広瀬さん大丈夫ですか?俺、何か飲み物取ってきますね?」

いらない、と奈央が止めようとしたが、五十嵐がバタバタと走って出て行った。


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