恋愛の条件
「でも仕方ないわね……黒沢君があそこまで強く要請して、あなたもそれを望んでいるんだから……」

「本当に申し訳ありません」

奈央は深く頭を下げた。

「いいのよ。オフィスは違うけど、ニューヨークで頑張ってちょうだい。向こうの支社長もあなたには期待しているみたいだから」

「???」

奈央には山内課長の言っている意味がわからない。

「人事部長とミーティングを入れなきゃね。サイバーマイクロ社とWILの件で現地スタッフが足りないから、多分すぐにでもニューヨークに転勤ということになりそうだけど、大丈夫かしら?」

「あ、あの……」


(は、話が読めない……向こうの支社長って……?転勤?)


「ここは手薄になるけど今あっちのオフィスも大変みたいだし。ニューヨークからサポートよろしくね?」

「あの、山内課長……?」

「そんな顔しないでよ。別に怒っているわけじゃないのよ?ただ、もう少し早く教えて欲しかったわ。あなたが強くニューヨーク支社勤務の希望を出していたなんて……」

山内課長が大きくため息をついた。


(はぁぁぁぁぁ……!?!?!?

私が、転勤希望????

しゅーーーーーーーうっ!どういうことよっ!?)


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