恋愛の条件
「私が奢るわよ♪おじさん、生一杯!」

「沙希!!」

反論しようとしたが、こんな面白いものは見逃せないと沙希の目が笑う。

こんな時の沙希は何を言うか分からない。


(この人、ホントに私の友人よね……?)


「サンキュ♪沙希も久しぶりだな?」

「おかえり、と一応歓迎しておこうか?いい男になったじゃん」

「沙希も相変わらずいい女だなぁ」

「知ってる」

「くっ……そういうところも相変わらず。沙希火持ってる?かして?」

「どうぞ……」

カチッと火をつけライターを差し出す沙希を恨めしそうに見つめ、奈央は黙りこんだ。

殴り飛ばしたいと言ったが、本人に会いたいなんて言ってない、と心の中で叫んだ。

あぁ、ホントに殴りたい、あいつの余裕かましたあの顔を殴りたい、と膝の上で拳をギュッと握る。

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