恋愛の条件
「奈央……あんたって……」

「いいっ!いいからっ!何も言わないでっ!」

「あんた……めちゃくちゃ感じてたでしょ?」

「何も言わない……黙秘権行使!」

おそらく自分は今、ひどく間抜けな顔をしているだろう。

冷え切ったお絞りを顔にあて、天井を仰ぎみる。

「奈央先輩いいなぁ……はぁ……私も黒沢さんにキスされたぁい!」

含みのある笑いを浮かべる沙希に、頬が蒸気しているあや。

この二人を前にして奈央をこれ以上何もいうことができなかった。

「奈~央ちゃん?明日から海外開発、楽しそうじゃな~い?何かが始まりそうね~♪」

「ほんっとですよ!羨ましい!」

「どこが?胃が痛いわよっ……」

「とりあえず、ヤッたら報告ね?」

「ヤらないっ!!」

面白がる沙希を無視し、奈央は今日の出来事がエイプリルフールの冗談であって欲しいと願うばかりだった。

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