恋愛の条件
別に「寄りを戻したい」と言われたかったわけではない。いや、そう告げられることを期待したが……

裕樹の心配そうに自分を見つめる瞳を「切なそうに」自分を見ていると勘違いした、そんなおめでたい自分に無性に腹が立った。

その上、佐野とのことを釘を刺すように報告する裕樹に、奈央の自尊心が一層傷つけられた。

自分はそんな了見の狭い女ではない。

ましてや、佐野は可愛いと思える後輩だ。

その彼女にあることないこと言いふらすとでも思われたのだろうか。


(信じられないっ!人を馬鹿にして!)


ふと、佐野の初々しい姿を思い出す。

控えめで可愛くて、何か守ってあげたくなるような、自分とは正反対の大人しい彼女。

付き合っていた頃は、裕樹は奈央に夢中だったはずだ。

我がままも全て包み込むように聞いてくれた。

奈央が一番だと何度も囁やいてくれた。

それななのに、なぜ?

別れて間もないのに、奈央のことが好きでしょうがなかったはずなのに、なぜ今度は自分とは正反対のタイプの子と付き合うのだろうか?

結局自分ではダメだったと、ダメ出しされているようで、奈央の心はひどく痛んだ。


(あぁ、こういうのって、何か……結構くるなぁ……)



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