雨の中にたたずんで
「ここ」


優輝くんは右手にはめようとした指輪を取り上げ、私の左手の薬指に

するりとその指輪をはめた。



「大学卒業して、就職したら・・・ちゃんと本物あげるから」


その言葉にさっき燃やされてしまった婚姻届を思い出す。

驚いて顔をあげると、優輝くんはちゅっと軽く唇を合わせた。


「俺は親父みたいに、待たせないから」


そう言った顔はすごく真剣で、私ははめてもらった指輪をぎゅっと握り締める。





な、なんか急にドキドキしてきちゃった・・・






慌てて、俯いて指輪に視線を落とす。






なんか、くすぐったいな・・・



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