ボクらのオキテ
会いたい
「蒼?
あの人、また来てるわよ?」


お母さんが部屋の外から言う。


零くん、か。


もうどうでも良かった。


もうどうなったって。


世界が今崩れて、
後形もなくなってしまえばいいのに。


そうすれば、
この嫌な気持ちも、
自分自身も、
纏わりつく全ての物も、
消えるのに。


「蒼?」


「会えない...」


私はそう答えて、
枕に突っ伏す。


会いたいと思うのに、
どんな顔して会えばいいのか、分からないから。
< 64 / 73 >

この作品をシェア

pagetop