裏切りの足音
同時刻、場所は本家。

本家の邸の中で、カズサは一人でいた。

広間に座布団を敷き、虚ろな表情で座っている。

しかしその額には、浅黒く手形があった。

広間にルナとヒミカが入ってきて、そんなカズサの姿を見て、互いに顔を見合わせた。

「やっぱり…」

「マカの言う通りだったわね。カズサのおじさんは操られていたんだ」

「カズサ…」

ルナは不安げな表情で、カズサの前に立つも、何の反応も返さない。

「カズサのおじさんのことは、マカに任せましょう。とりあえず、運ばなきゃ」

ヒミカが視線を移動させた先には、シヅキとラゴウの二人がいた。

二人は難しい顔をしながら、頷いた。

「囮の方はセツカから成功したとの連絡が入ったわ。まあもっともいつまで持つかは分からないけどね」

ヒミカはルナの肩を掴み、カズサから離れさせた。

「…攻撃部隊は送らなかったのね?」

「マカは今回、マノンを足止めさせればいいと思っているらしいわ。問題は裏切り者の本体の方だからって」

「マカ…」

ルナは不安げに、空を見上げた。
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