裏切りの足音
マカはリウの後ろに回り、車椅子を押した。

「悪いねぇ。次期当主様にこんなことをやらせちゃって」

「悪態つくぐらいなら、来るな。そもそもお付きの者はどうした?」

リウは本家寄りの血筋な為、付き人が何人かいて、リウの身の回りの世話をしていた。

「今日は僕一人。マカに会いたくて」

「そりゃどうも。だが電話の一本ぐらい、入れてほしかったな。私が家にいなかったら、どうするつもりだった?」

「あっ、それは考えていなかった!」

本気で今気付いたという顔をしたリウ。

マカはため息をついてしまう。

今、リウは中学三年生。

本家の地元の中・高が続きの私立の学校に通っている為、受験はないものの、こちらへ来るほど暇ではなかったはずだ。
< 8 / 31 >

この作品をシェア

pagetop