2時頃
「………なにして……」


ザクザクッ


「ひっ」


彼女は指を切り始めた


「………」

怖くてあたしは
声がでない


ヒタヒタヒタっ―…


彼女があたしに
早足で近寄ってくる


あたしは逃げた

玄関に…


「あっ…」

玄関がガムテープで
塞がれてる


「逃げられない」


あたしの頭がそう言った


「…あ…あ…」

ジリジリ近寄ってくる
彼女…


震える足
まばたきも出来ない



ダンッ―…


グググ…

「ッぐ…」

彼女がものすごい力で
あたしの首を閉める


彼女のこの細い
腕のどこからこんな
力が出てくるんだ…


「…ひ…うぅ」

息が飛びそう

彼女の長い爪が食い込む


あたしは彼女の
コートのポケットにある
カミソリを手に握った



ザクッザクッ


力をこめて
彼女の皮膚を傷つける


「きぇぇええ―…」


彼女は奇声をあげて

うずくまる


「くっ…」

首を押さえて
あたしは奥の部屋へ
逃げ込んだ



「ぁぁあ゛あ゛―」


彼女が爪をたて
両手をひろげ

逃げるあたしの髪を
掴んで引っ張る


ザック…


耳が……

ぼとッ


落ちた


勿論彼女のではない…


あたしのだ



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