君を愛す ただ君を……Ⅱ
「正直に言えよ」

「正直に言ってるってば。愁斗から聞いたよ、凄いじゃん。実業団からオファーがきてるんでしょ?」

「愛、話を逸らさない」

 彩樹がジッと私を見つめてくる。

 真っ直ぐすぎて、胸が痛いよ。

 そんなに見ないでほしい。正直に言えるわけない。言ったら、私の未来がなくなっちゃう。

「ただ血液検査が……」

「違う」

「なにが?」

「嘘を言わない。事実を聞きたい。昨日から、おかしいよ、愛」

「なんで嘘だってわかるのよ。本当のことかもしれないのに」

 彩樹が、ふうっと息をはいた。

「何年一緒に過ごしてると思う? 愛の嘘くらいわかる」

< 15 / 56 >

この作品をシェア

pagetop