君を愛す ただ君を……Ⅱ
 え?

 私はごくっと唾を飲み込むと、下を向いた。

 凄く嬉しい言葉を言われた気がする。私を見てくれてるって思うような言葉を、彩樹から聞いた気がするよ。

 でも……言っていいの?

 彩樹に言ってもいいの?

「あ、あの……あのね」

 私は彩樹の腕をぎゅっと掴む。

 喉の奥が、急にカラカラに乾いて、へばり付きそうになる。

 言っていいものなのか。このまま嘘をつき通すべきなのか。

 頭の中がグルグルして、わけがわからなくなってくる。

 言っちゃ駄目って叫んでる私がいる。正直に彩樹に話すべきだって言っている私もいる。

 どっちの私を選択するべきなのだろうか。

 
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