はらり、ひとひら。
「はい。貴方は、椎名様ですね」
「そうだよ」
大木へ縛り上げられたゴンは、声を殺して私と猫馬のやり取りを見ていた。
「おや驚いた。よく見れば白狐の旦那じゃありませんか。久しいですね」
「朱獅子貴様…馬鹿なことはやめろ」
「馬鹿とは聞き捨てならないな。そっちこそ人につかえて式神ごっことは、気でも触れたか」
互いが互いを探る会話だ。いがみ合う二体の妖の迫力は計り知れない。足が竦む。
「その娘、かの修羅の血を引く少女だそうですね?何故食わない、白狐」
「こいつは私が先に見つけた。生憎生かすと決めたゆえ」
「食わぬ馳走など芥も同じ。くだらん飼い殺しなど人には不要」