はらり、ひとひら。


**森**


【???side】



「見つけましたよ、狩り人」



「誰、お前」


目の前に突如現れた赤い毛色の大きな獅子。でかい妖だ。


「私は朱獅子と申します。椎名様からの命令で、貴方様を連れに参りました」


「椎名?…お前、あいつを知ってんの?」


「もちろんですとも。彼女からの依頼で、『狩り人を見つけて来い』と頼まれましてね」


命令?依頼?なんだそれ。人に服従する妖なんてくだらない、と声をあげて笑う。


「オレを連れてってどうすんだ?戦えってか?」


「さぁ。私に人の心はわかりませぬ。しかし彼女は今は起き上がることも不可能ゆえ、しばしお待ちを」


帽子を取り、顔を見せてやる。よく見ろ、朱獅子。


「─貴方の名は?」


うっそり笑って訊ねてきた朱獅子に、オレも笑って答えた。






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