はらり、ひとひら。


朝食を食べ終え、洗い物やっちゃおう、と蛇口をひねると珍しくキッチンに海斗が立つ。


「おれも手伝おうか?」


「…なーに、珍しい」


普段からは考え付かないような行動に思わず吹き出す。いつもなら頼まれても嫌がる癖に、どういう風の吹き回しだろう。海斗の頭をポンポン叩くと無言で俯いた。



「あのさ・・・姉ちゃん、おれ─」


「ん?」


「ううん、やっぱなんでもない」


「なにそれ、変な海斗」


「・・・・・・そう?」


じゃ、部屋に戻る。と海斗は
言い残し、リビングから消えた。


< 36 / 1,020 >

この作品をシェア

pagetop