はらり、ひとひら。
玄関で急いで靴に履き替え、
走り出したまではいいけれど。
どこに逃げれば・・・?
「っ、迷ってる暇はない!!」
私は迷わず森へ走り出した。ひとまずは家から離れないと。
どうしてかわからないけど、
私を助けてくれる妖怪が待っていてくれるような期待があった。
─あの不思議な声の主のような、優しい妖怪が。
どの妖怪も恐い人を襲う妖怪、って
絶望させないで。
私は誰かに呼ばれるようにして
森への道を走り抜けた。