はらり、ひとひら。
「・・・っ、は、っ」
あがった息を整えるため、その場
にしゃがみ込む。
「ここ・・・お墓・・・」
私が呼ばれるようにして辿り
ついたのは、昨日も訪れた我が家
のお墓。
辺りを見回す。
見る限り、木、木、木だ。
その中に、ひときわ目を惹く
木があった。
「なにこれ…?前来たとき、こんな木あったっけ…」
まだこんなに冷え込んでいるのに、もう桜が咲いている。
ふわふわと散る花びらは幻想的な光景だったが、狂い咲きの様子にはなんだか恐怖を感じた。