はらり、ひとひら。
どう考えても恥ずかしすぎる。名前で呼び合ってる朝比奈たちがすごすぎる。俺には無理だ。
「若様?お茶菓子をお持ちしました」
「っ、あ、ありがとう」
赤面していると襖の外から声がした。入るよう促すと背の高い女性がお盆を持っていた。
「こんにちは」
「こんちはっす。あ、美味そう!すっげえ高そうなお菓子!」
練り切りを見ると目を輝かせる朝比奈が小さい子どもみたいで、吹き出す。
小皿に盛られた一人前。
桜を模したものと、鶯のようなものがひとつずつ。
花に鳥か。…偶然にしてはすごいな、と緩む頬が抑えきれなかった。
「綺麗な色だね」
「ふふ、そうでございますね。では、ごゆっくり」
「ありがとう焔(ほむら)」
洗練された動作でゆったりと部屋を後にした式神。何も言っていないけど、聡い彼女は彼が人だということに気付いて妖力をコントロールした。朝比奈には多分、ふつうの人間に見えてたことだろう。
「神崎、恐ろしい子…」
「え。何が」
…何その顔。