[完]大人の恋の始め方
ドキドキを隠しながら、着替えを済ませると、優斗さんが男の人と話していた。
知らない人だけど…日本人??
「杏里!」
優斗さんは、どうやらあたしに気付いたらしく、手招きをしている。
やだなぁ…
知らない男の人とか…キライ。
なんて思いつつも、優斗さんに呼ばれたからには仕方ない。
あたしは、重い足どりで優斗さんの隣に向かう。
ここに来て、初めてしっかりと男の人の顔を見た。
……なんてゆうか、美形?
ビジュアル系にいそうな顔立ちだ。
っと、何?
彼は、あたしのことをジロジロと見てきたのだ。
あたし…、なんか付いてる?
そう不安に思うほど。
「杏里ちゃんっていうんだよね?」
初めて発した言葉。
うん。
カラコンしてるけど、日本人だ。
「はい…」
うーん…。
なんか嫌だな…。
赤みがかった短髪も、大きなサングラスも、ピンク色のシャツも、全てが軽い人間にしか見えない。
おまけに声が異様に高いから不信感を抱く。
引き目がちに彼を見ていると、急に顔をズイと近付けてきた。
その近さに息を呑む。
「俺、杏里ちゃんが気に入ったぁ♪」