[完]大人の恋の始め方




「ん?全部だよ!」



………ニコっじゃねーよ、楽さん。



むしろ合わな過ぎて困ってるのに!



「合ってるように見えます?」



もう一度楽さんに確認してみるも…



「うん。合ってるよ」



答えは、同じ。



何故だ。何故あたしの周りには、変人しかいないのだ…。


「楽さんって、やっぱり素敵ねー♪」



あたし達のやり取りを見て、ニコニコする母。



「はい?」



楽さんも、唐突の言葉過ぎて、いくらか困惑している。



「なんてゆうか…、やっぱり杏里ちゃんにピッタリなのよ」



「ちょっとママ!!それまだ言う!?」



ムっと睨むも、母には効果なし。



そんなの分かってるけど…、ムカつくから睨んじゃえっ!!



「まだ言うわよ~?だって、杏里ちゃんは、楽さんと居ると楽しそうだものっ」



「はっ?!」



あたしが楽さんと居て楽しそう?


嘘。
あたしは、楽さんが嫌で嫌で仕方なかったんだよ?



チラッと楽さんを見上げると、丁度目が合った。



楽しい…?
そうかもしれない。



でも、何?なんだか違う気がする。



「この際付き合っちゃいなさいよっ♪」


嬉しそうに、進める母。


「そうですね。僕も杏里ちゃんの事、好き」



そこで、急にあたしの身体が引っ張られ、背中に鼓動を感じた。


あたしの身体を抱きしめる、この腕は誰―――――――?!



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