[完]大人の恋の始め方





そうこうしているうちに、心美がこれまた大きな荷物を持って階段から駆け降りてきた。



あんた、何泊するつもり?



「心、泊まるの1日だよ?」



友美も変に思ったのか、一応心美に確認する。



「あ、間違ってモデル合宿のほう持って来ちゃった!」



そう言ってまた戻る心美。



ズテンッッ



あたしと友美は、心美のバカさ加減に思わずコケた。



「心美、相変わらずだね…」


「バカ健在…」



さっきまであんなにお姉さんだったのにな。



昔からそうだ。


心美はどこか抜けている。



世に言う天然なのか、バカなのか。



難しいラインだ。



再び足音が聞こえ、心美の姿を見る。



今度は、見合った荷物の量だ。


その姿を見てホッとしたのは、多分友美も一緒。



「楽しみだなぁ~!生の優斗さん、会った事ないんだよね~」




よく考えたら、優斗さんって、超売れっ子のヘアメイクリストさんなんだっけ。



皆がなかなか会えないなか、簡単に会える自分が何だか嬉しく感じた。



「ここの最上階だよ」


「すごーいっ」



テンションが上がる二人。


あたしは、セキュリティを慣れた手つきで解除して、部屋へと足を進めた。




< 225 / 500 >

この作品をシェア

pagetop