さらば、ヒャッハー


「冬月とこれからも仲良うしたってな、わたるんはん」


――、その言葉が。


「は、い……。こちらこそ、よろしくお願いします」


どれほどまでに嬉しく、どれほど悲しいことか。


わたるんと呼ばれ、また仲良くしようという約束。“これからも、ずっと”。何も知らないくせにと何か言えない、ただの友情がこんなにも――辛いだなんて。


「シシッ、あー、やべっ。わたるんにまた、未練ができちゃったかぁ」


閉じられた襖からしばらく目を離せなかった渉が、藤馬に意識を持って行く。


包帯で巻かれた目すらも歪んでいるような、どこまでも嫌な笑い方をする人だった。


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