もっと大切にする~再会のキスは突然に~
って、過去を振り返っていた私の顔をじっと見ながら繭子ちゃんがトドメを刺す。
「意気地なし。」
「もうっ!繭子ちゃん!…意気地がないとかあるとかの問題じゃないんだよ?私が一方的だっただけだよ。だからもう終わりなの、この話は終わり!」
バタンッとロッカーを閉る。
ちゃんと笑えているかわからないけど、精一杯の笑顔を作り繭子ちゃんを見ると繭子ちゃんは何か伝えたそうに考えている。
「あのさ、これ、私にも言えることだったんだけどさ。」
そう前置きして、ちょっと照れたように笑った。
そんな繭子ちゃんはいつものしかっりものの顔じゃなくて、とても可愛らしいオンナノコの顔で。
「素直になるって、歳とってくると恥ずかしかったりで難しいけど。…でも、せめて好きな人の前では素直でいたくない?」
瞬時に、繭子ちゃんは恋をしているんだなぁってわかるくらい幸せそうに笑った。
「葵さ、意地っ張りだからきっと何も伝えられてないんでしょ?自分の気持ち。」
繭子ちゃんのはにかんだ笑顔に、幸せそうな言葉に、なぜか羨ましくなった。
繭子ちゃんには素直に何もかもさらけ出せる好きな人がいて、そしてたくさんの幸せをもらっている。