もっと大切にする~再会のキスは突然に~
「自分が就職して、あの時の葵に全然優しくなかったって、すげぇ後悔した。なんでもっと大切にしてやらなかったんだって、馬鹿な自分に呆れたよ。学生とは…全然違うもんな、社会人は。
学生と違って、やらされてるんじゃない。仕事だから、自分のやることに言い訳はできなくて責任も伴う。そんなこと、全然わかってなかったよ。」
「私はっ、あの頃河合クンがいたから毎日仕事に行けてたよ?河合くんが話を聞いてくれてたから、何とか頑張っていられた。」
それは、本当にそのとおりだから。
看護学校を出ていても実際はなにもできない、なにも知らない自分に、心が挫けてしまいそうだったから。
毎日、話を聞いてくれることが、支えだった。
「でも、もっと大切にするから。」
私の目をしっかり見据えて、はっきり口にするそれに、
「うん、ありがとう。」
素直に嬉しくて、笑みが零れる。
プロポーズみたいなそのセリフに、心臓が早鐘を鳴らす。