もっと大切にする~再会のキスは突然に~
結局いつもよく行く創作居酒屋で、2杯目のファジーネーブルを飲み干すと、日勤の疲れもあってかちょっと目の前がクラクラした。
「葵、相変わらず酒弱いな。ゆでだこみたいになってる。」
「うるさいな~。空きっ腹だったからよ。」
「葵、自分らの追いコンでも誰よりも早く撃沈してたもんな~。そういえば、あの時もさ…」
絶対つまらないと思っていた昔話も、あの頃の気持ちとともに鮮やかに情景が浮かび上がり、数年間の隔たりなんてなかったかのように錯覚させる。
いつも2人でくっついていた頃のように私をじっと見る河合クンは、昼間見たできる医者の姿も思い出させて、なぜか私を落ち着きなくさせたりしていて…。
ほんの少しの沈黙に耐え切れなくて飲みかけのグラスに視線を落とす私にふいに声が降ってくる。