もっと大切にする~再会のキスは突然に~

あれ?この声…。


「河合クン?こんなところで何やってるの。」
「だって、携帯知らないだろ?俺ら。」


…全然答えになってないけど。昔のようにすっと右手をとられ、歩き出す。



「落ち着いたのか?あの女の子。」

「あ、うん。ひとまずね。私が帰るときは呼吸も落ち着いてたし。意識も戻ってたよ。」


女の子は、溺水といっても救命胴衣を身に付けていたから、浮いたり沈んだりを繰り返していたため完全に水を飲んでいたわけではなかったことで比較的早くに状態が落ち着いた。



お互い表情が緩む。

病院の近くなのに、つながれた手をなぜか離すことができなくって、
恥ずかしいだろうにマンションの前で待っていてくれたことにも胸の奥底がキュンと痛くなった。

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