美味しい時間

目を開けると熱く刺激的な眼差しで見つめられ、もう気持ちを抑えられなくなってしまった。

「慶太郎さん……」

「うん?」

「あの……だ、抱いて……ください……」

自分が心からそう思い言葉にしたのに、涙が頬を伝い落ちた。

「ごめん。急かし過ぎたな。無理しなくていい」

子供を寝かすときのように、背中をポンポンと優しく叩いてくれる。
でもまた子ども扱いされた気がして、胸がチクンと痛んだ。
首を横に振りながら課長の胸に顔を埋め背中へと手を回すと、課長がピクッと反応する。

「無理なんてしてない。今、抱いてほしい……」

自分でも、どこからそんな声を出してるんだと思うくらい、甘い声を出して懇願してしまう。
課長の私を抱く腕の力が微かに強まった。

「途中でやめてって言っても、もう止まれないけどいいのか?」

胸の中でコクンコクンと小さく2回頷いた。
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