美味しい時間
「また親子丼食べてるのか。旨そうに食べるよな」
出たっ!! 東堂課長。
せっかく一人でこの時間を楽しんでたのに……。
面倒だけど、無視するわけにもいかないしなぁ。
「ふぁい、おいふぃでふから」
「お前なぁ。口の中に食いもん入ったまんまで喋んなよ」
そう言いながら私の頭に手を乗せて、ポンポンと撫でた。
はぁ……子供扱いですか。
はいはい、どうせ私は恋も知らない子供ですからね。って、今時は小学生のほうが色恋話に詳しいかもしれない……。
ジロッと嫌味な目付きで課長を見ると、何か魂胆でもありそうな笑みを浮かべ、私の前の席にストンと座ってしまった。
「な、何で、そこに座るんですか? 席、他にも空いてますけど……」
「いつも旨そうな弁当食べてるけど、自分で作ってんの?」
話が噛み合ってない……。いつまでもここにいられたら、私すっごく困るんだけどなぁ。
ほらっ。もうすでに何人かの女性社員が、東堂課長の存在に気づいて、こっちを見ながらヒソヒソと何かを話してるよ。
「か、課長? 何も食べないのなら、そこ、どいてくれませんか?」
「誰か来るの?」
「そういう訳じゃないですけど……」
「じゃあ、いいじゃん」
駄目だ……。この人にはちゃんと話さないと伝わらないみたい。