美味しい時間

「何かあったの? 機嫌悪そうだけど」

美和先輩が私の異変に気づき、覗き込んできた。
本当ならここで、

『東堂課長にお弁当作らないといけなくなっちゃいましたぁ』

と話して泣きつく所なんだけど、今回に限ってそれはできない。。
美和先輩を信用してないわけじゃないんだけれど、ちょっと口が軽いのが心配なんだよね……。どこでどう間違って、先輩社員のお姉様たちにバレるか分からないし。

「ちょっと食べ過ぎて気持ち悪いだけですから、大丈夫」

そう笑って答え、また机に突っ伏した。
はぁ……。仕事する気が、全然起こらない。
でもそろそろ、課長から仕事が回ってくる時間だよなぁ……。

「藤野、ちょっといいか?」

ほ~らね。お呼びがかかりました……。
嫌々東堂課長の前まで行くと、何やら用紙を一枚手渡された。

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