美味しい時間
この店は課長が取引先との商談や接待の時に使っているらしく、店長さんや店員さんとも顔見知りのようだ。
「急だけど、席、空いてる?」
店長さんらしき人にそう声をかけると、すぐに席を用意してくれた。
店は混雑していたのに、個室に案内される。
「いつも悪いね」
「いえ、東堂さんにはお世話になってますし」
そう声をかけながら課長が部屋に入っていくのを見て、私もペコリと頭を下げて後についていった。
外観と同じで、部屋の中もお洒落。
少し薄暗く、大人っぽい雰囲気を醸し出している。
「何、緊張してるのか?」
「だって、素敵なお店だから……。私には似合わないと思って」
「お前、もっと自分に自信持てよ」
うん?どういう意味?
首を傾げ目でそう訴えると課長は苦笑しながら椅子を引き、私をそっと座らせた。