美味しい時間
「適当に持ってきてもらうけど、ダメなもんとかある?」
「何でもよく食べますっ」
「だろうな」
笑われた……。
言ってから、もう少し遠慮した言葉を言うべきだったと後悔した。
「何?」
「いえ……あのぉ。今日お昼ごはん食べ過ぎたので、そんなに食べれないかもしれ……イタッ」
途中、課長が手に持っていたメニュー表で私の頭を軽く叩く。
「何、遠慮してんだよ」
課長の顔を見てみれば、少し怒ってる?
別に怒らせようと思ったわけじゃないんだけど……。
なんて答えたらいいか分からなくなって、俯いてしまう。
「なぁ藤野。ここは会社じゃないんだから、俺に気を使わなくていいぞ。顔、上げろよ」
会社では絶対に聞くことができない優しい声でそう言われ、私はゆっくりと顔を上げた。
「ありがとうございます。課長」
笑顔で課長の顔を見る。
すると何か考え込む課長。
う~んと唸ったかと思うと何か閃いたのか、小さく頷いてから私の目をまっすぐ見つめた。