美味しい時間

はぁ……しょうがない。ここは腹をくくるしかなさそうだ。
と思ったものの、なかなか声が出せないんだよね。

「け……けいたろう……さん……」

うぅぅ……穴があったら入りたい。
恥ずかしすぎて死にそう……。
顔を真っ赤にし頑張って名前を呟いたのに、「もう一回、もっと大きな声で」と課長のダメ出し。

これは、ちゃんと言わなきゃ終わりそうにないな……。
そう気づいた私は、意を決して課長に向き直る。

「……、慶太郎さんっ!」

よく頑張った、私。

「さんは無しでいいけど。まぁそれはおいおいでいいな。合格!」

満足そうに微笑む課長。
その微笑みに、私は心を囚われてしまった。

どうしよう……目が離せない。
胸の鼓動が次第に高鳴っていくのが分かる。

何なの、この気持ちっ!?

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