仮
―20XX年 地球―
騒がしい現代は、機械のように世界を回していた。
どこかのお偉いさんがこうしろと言えばそれは間違いだと反論するこれまたどこかのお偉いさん。
私はそんな内容のテレビを見つめながらご飯を口に運ぶ。
「…結論が出ずに持ち越し、みたいなのばっか。」
ポツリと呟いた声が思ったよりも部屋に響き渡ったのに驚くがそれも束の間、すぐに虚無感が身体を包み込むように襲う。
あぁそうか、独りか…
もぐもぐ、と口を動かしながらテレビから視線をはずし棚の上にある写真たてを見つめる。
そこに写るのは笑顔に溢れた家族写真。
お母さんは優しかった。
お父さんはかっこよかった。
―私は、お母さんもお父さんも失ってしまったんだ。
込み上げる孤独という現実から目を背けるように立ち上がり、食器を流し台まで運ぶ。
しっかりしなくちゃ!
そう心に渇をいれ、蛇口をひねり顔を洗い始めた。