その両手の有意義な使い方
「好きな方、選んで」

へたくそなウィンクだな、と思いながら、冷静に突っ込む。

「で、内容は?」

「内緒」

にこーっと、バカにしてんのかこの野郎、と云わんばかりの天真爛漫さで、高遠は舌を出した。

「ただ、プランΑとプランΒ、フミさんの好きな方、どちらでも選んでよ」

「…じゃあ、『あ』やせのΑ」

―あやせ、ごめん! あたしに悪意はないのよ!

こころのなかで謝りながら、高遠に意趣返し。

少しだけ高遠の顔が歪んだから、まあ好いとする。

ひとり溜飲を下げてみたのに、返ってきた予想外の高遠の言葉に、ぶっ飛ばされた。

「じゃあ、行き先はフミさん家で決定で」

ほとん、と手からバッグが、すっぽ抜けた。
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