へたれ息子①
「特に、子供に、ブランド以外の服着せるなんて、信じられないわ」
ちらりと、車内を見回しながら、言う。
休日なので、子供も結構乗っている。
今、彼女は、瞬間的に、ほとんどの親を敵に回した。
気に入ったブランドのモノを、着せるのもいい。
気に入ったものがブランドで、がんばって買うのもいい。
でも、ノーブランドだって、いい。
嫌なのは、自分の好みが唯一絶対と信じて、他を攻撃するやりかた。
ほっといてくれ。
心の中だけで
『私の子の方がいい服着てるわ。ふふん』
って思ってろ。
高い服を買ってるんだ。
それくらいのことは許される。