“運命の赤い糸”
あのサクラが、謝ってくるとは思わなかった。

俺は無言のままサクラを見た。


「ヒロキにも、本当に最悪なことしたって思って‥ヒロキの想い、嬉しかったのに、素直になれなくて‥本当にごめんなさい!」


今までとは違うサクラに戸惑いながらも、俺はサクラにハンカチを手渡した。


「涙‥拭けよ」


サクラは俺からハンカチを受け取ると、そっと涙を拭った。


「ナオの父親が‥お前のこと、責めねぇってさ」

「え‥?」

「お前がナオにしたこと、別に責めたりしないって」

「なん‥で‥?あたし安達さんに‥最悪なことしたのに‥」


納得のいかないと言った声で、サクラは言った。

俺はサクラを見ながら口を開いた。




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