悪魔の熱情リブレット

「僕が、殺したんだ…。この剣で…」

アンドラスは刺さったままだった剣をそっと引き抜いた。

ティアナの胸から鮮血が滴る。

「そんな…!!貴様は意味なくそんなことしないだろ!?教えろ!何があった!!」

白い悪魔は虚ろな瞳で辺りを見回した。

「ここに…町があった…」

「はあ?」

バシンも周囲を見る。

どう見てもここは荒れ地だ。

町があった面影など微塵もない。

「この町は僕が壊したよ。この破壊の化身アンドラスを怒らせたんだ…。跡形もなく消し去ってあげた。建物も人も…全部ね」

ライナルトの町はアンドラスの怒りと悲しみと嘆きを孕んだ凄まじい気によって、一瞬にして消滅した。

人や動物、その他全ての生命は紙が炎で燃やされるようにその命を呆気なく奪われた。

ティアナが守ったライナルトも、死体すら残らずこの世から消されてしまった。

「ここにいた人間のせいで、ティアナは…」

彼は血が出るほど唇を噛んだ。

「きっと唆されたんだ!!じゃなきゃ、ティアナが…あんな…」


――人間を庇うなんて、ありえない…



(ティアナ…どうして…?僕のことを、愛してくれていたんじゃなかったの…?)


< 214 / 308 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop