悪魔の熱情リブレット

嘆きの声が静かなシャッテンブルクにこだまする。

屋敷にいた連中がアウレリアの異変を察知し、時計塔の前にやって来た。

「お嬢ちゃん!どうした…って、アンドラス!?」

「主よ!!」

バシンとシルヴェスターがいち早くアンドラスの体に近寄る。

「な~に?アンドラス死んじゃったの?」

呑気な声で尋ねるヴォラクの口をサリエルが手で塞いだ。

「発言を慎みましょうね。ヴォラク」

「十字架…!なんてことを!」

オセーが体を調べ唸った。

「私のせいだ…。私が、記憶が無かったから…アンドラスに酷いことばかり言っちゃったの…!」

皆、一斉にアウレリアを見た。

「アウレリア様…」

痛いほど悲しい表情をしているシルヴェスターに、アウレリアは謝った。

「シルシル、ごめんなさい。私がアンドラスを…追い詰めたの…」

「アウレリア様!?記憶が!?」

シルシルと言う呼び方に反応する。

「取り戻したよ。私の記憶。皆のことも、アンドラスのことも…ちゃんとわかる」


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